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あそびをせんとや ~あそびっこ~

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本を読んだり、舞台を観たり、後は何をしようかな?実は虫好き。変なもの好き。

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カテゴリ:読書(児童書・YA)( 101 )

夏休みの本棚③

夏休みの本棚③ ~夏休みには戦争と平和についても考えてみよう!

「ヒットラーのカナリヤ」(Y.A.Books) サンディー・トクスヴィグ (小峰書店)

ヒットラーのカナリヤ (Y.A.Books)

サンディー トクスヴィグ / 小峰書店

 第2次世界大戦中、デンマークもナチスドイツに占領されました。表立って激しいレジスタンスを行わなかったデンマークのことを他のヨーロッパの国々では「ヒットラーのカナリヤ」と揶揄していたそうです。しかし、迫害されるユダヤ人のほとんどを国外に逃がし、彼らの財産もきちんと守ったのは、デンマークの人々でした。
 主人公は10歳のバムス。ママはデンマーク随一の女優。パパは新聞に風刺画などを寄稿する画家。反ナチス運動に参加する兄。ドイツ兵と恋に落ちる姉。ナチス寄りの考えを持つ伯父さん。ママの専属のスタイリストで親友であるトーマス。
 作家のサンディー・トクスヴィグが父(バムス)の体験を基にして書いた物語が、私達に伝えてくれるのはとても大きいものです。こういった行動を取れる人々、国家というのが、本当の自由主義の国ではないかと思いました。何が正しいのか自分で考えること。正しいと思ったことを行動に起こせること。


「ムーンレディの記憶」 E.L. カニグズバーグ (岩波書店)

ムーンレディの記憶

E.L. カニグズバーグ / 岩波書店

 この夏休みに読んだ本ではないけれど、戦争中のお話ではないけれど、この物語も。
 主人公アメディオが友人のウィリアムと共に隣家の荷物整理の手伝いで見つけた1枚の絵にまつわる秘密。現代のアメリカから始まった物語は、第2次世界大戦の影の部分までもだんだんと見せていきます。戦争はずっと前に終わったんじゃない。今でもずっと傷ついた心を持ち続けている人もいるのです。
by wkikyoko | 2009-08-31 23:27 | 読書(児童書・YA)

夏休みの本棚②

夏休みの本棚② ~夏休みですから課題図書もね!~

「流れ行く者―守り人短編集」 上橋 菜穂子 (偕成社)
 「守人シリーズ」は2年前に完結したのですが、私はまだ途中までしか読んでいません。もうずっと前に読んだ「虚空の旅人」でストップしています。あ、「神の守人」派読んだっけ?残りも順番に読まなくっちゃと思ってはいるのですが、なかなかです。よっぽど先に、バルサとタンダの結末を読みたいのだけれど、それは我慢我慢。でも、これは外伝ということで。13歳の頃のバルサ。

流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36)

上橋 菜穂子 / 偕成社


by wkikyoko | 2009-08-31 23:20 | 読書(児童書・YA)

Torakの運命

クロニクル千古の闇5
 「復讐の誓い OATH BREAKER」 ミシェル・ペイヴァー (評論社)


 トラクは、兄のようにも慕っていたベイルを殺され、魂喰らいシアジヘの復讐に燃える。魂喰らいの陰謀により、深い森の部族同士の間にも復讐の戦いが始まろうとしている。ただただ、自分たちの指導者の言葉だけを信じ、自分で考えることを止めてしまう人々。自分たちだけが唯一正しいと主張し、他を倒すことが自分たちの暮らしを守ることだとの思い違いは6000年前も今も変わることはない。人間だけが復讐という感情を持っているのだ。昔も今も‥

 前巻で明らかにされたレンの生い立ちに続き、この巻ではトラクの出生の秘密も明らかになる。トラクの負わされた思い運命も。巻を追うごとにトラクもレンもウルフも、だんだんと大人に近づいていく。少年から青年へ、トラクの心の揺れは大きい。魂喰らいは、壊されたファイアオパールのかけらを一つずつ確実に手に入れていく。悪霊を呼び出しこの世を支配しようとする魂喰らいと、トラクたちとの戦いも、いよいよ佳境を迎える。次がいよいよ最終巻。結末は来年までまた待たなくちゃ。

復讐の誓い (クロニクル千古の闇 5)

ミシェル ペイヴァー / 評論社


by wkikyoko | 2009-06-25 17:10 | 読書(児童書・YA)

アンネの日記

 今日は、アンネ・フランクのお誕生日でした。Anne Frank、1929年6月12日生まれ。1942年、13歳のお誕生日から書き始められた彼女の日記は、世界中で一番多くの人に読まれた日記かもしれませんね。彼女は日記とともに数編のメルヘンも残しています。私が最初に持っていた「アンネの日記」は、赤い布張りの本で、そのお話も一緒に収められていました。厳しい現実を綴った日記と、夢のようなお話の間で、私は少し戸惑ったりしました。

 それでも、最初に出版された日記は、父親オットー・フランク氏により、母親や同居の人達への痛烈な批判の箇所や性に関すること、また存命中の人のプライバシー保護のために編集がなされていたそうですね。オットー氏の死後、原テキストに近い形で、「完全版・アンネの日記」が出版されました。出版されてすぐ、これも買いましたが、私にとっての「アンネの日記」は小ぶりな赤い表紙の本のほうです。

 今でも、若い人は、「アンネの日記」読んでいますか?中学校の教科書に載ってるかしら?

アンネの日記―完全版

アンネ・フランク / 文芸春秋


by wkikyoko | 2009-06-12 23:59 | 読書(児童書・YA)

No et moi

「ノーと私」 デルフィーヌ・ドゥ ヴィガン:著 (日本放送出版協会)

 さてこれもフランスのお話。13歳の私(ルー)は高校1年生。高いIQを持ち飛び級をして高校生になった。だけど、学校ではいつも一人ぼっち。世界から自分ひとりがはみ出している気がしてならない。どうしても避けられないクラスでの発表課題にホームレス問題を取り上げたことで、私はノーと知り合う。ノーのことを知りたい。ノーのことを助けてあげたい。ノーと一緒に居たい。だって、ノーといるときだけが私は私らしい。世界と繋がっている気がするから。私とノーはかけがえのない存在。そう、あの星の王子さまとキツネのように。2008年フランス本屋大賞受賞作。

ノーと私

デルフィーヌ・ドゥ ヴィガン / 日本放送出版協会


by wkikyoko | 2009-05-02 23:59 | 読書(児童書・YA)

魔使いシリーズ

 「魔使いの弟子」が面白いと聞いていたけど、なんとなく読みそびれてました。けど、春休みに第4弾となる「魔使いの戦い」上下巻が新着図書の棚に並んでるのを見て、スイッチ・オンになっちゃって、一気に最新版まで読了。なかなか面白かったです。


 少し臆病なところのあるトムは、母さんのたっての願いで、魔使いの弟子となる。「7番目の息子の7番目の息子」であるトムには不思議な力が備わっているからだ。魔使いはそれぞれの土地にいて、闇の者と戦いその土地やそこで暮らす人々を守っているのだが、ゴーストやガーストや魔女などと渡り合う仕事のために人々からは忌み嫌われている。それでも、誰かがやらなければならない仕事はそれができる者が引き受けなければならない。

 気弱な少年トム。師匠となった魔使いグレゴリーの頑固さ。魔使いという仕事の困難さ。魔女の血を引く少女アリスとの関係。トムの父親は勤勉実直な農夫だが、母親には何か不思議な秘密が隠されているようだ。トムが魔使いの弟子になったことで、トム自身にもまたトムの家族にも過酷な運命が待ち受けることとなった。邪悪な力を持つ闇の者たちとの戦いが各巻で繰り広げられていく。トムはゲドほどストイックではなく、またグレゴリーもオジオンよりずいぶんと人間くさいけれど、そんなところも含めて魅力的なことは間違いない。


 で、なぜこのシリーズを避けていたのか…。私はどうもこの手のイラストが苦手なのです。表紙の絵が違ってたら、もっと早くに手に取っていたかも。あ~、でもこれはYAなのだから、ジャストな年代の子が手に取りやすい装丁なのかもね。

魔使いの弟子 (sogen bookland)

ジョゼフ ディレイニー / 東京創元社

魔使いの呪い (sogen bookland)

ジョゼフ ディレイニー / 東京創元社

魔使いの秘密 (sogen bookland)

ジョゼフ ディレイニー / 東京創元社

魔使いの戦い〈上〉 (sogen bookland)

ジョゼフ ディレイニー / 東京創元社

魔使いの戦い〈下〉 (sogen bookland)

ジョゼフ ディレイニー / 東京創元社


by wkikyoko | 2009-04-20 09:10 | 読書(児童書・YA)

美しくも痛ましい‥

「サレンダー」 ソーニャ・ハートネット:作 (河出書房新社)

 一昨年、鳥越先生の児童文学講座を受けたときに「児童文学にもはやタブーはなくなってしまった。」というお話を聞いた。確かに、と思う。どんなに厳しい状況を描いても、どこかに希望や明るさを見出せるのが児童文学のひとつの特徴だと思っていたのが、そうとばかりはいえないということを最近読む本では特に強く感じる。この本もそんな1冊。

 短い生涯を自らの意思で終わらせようとしている少年ガブリエルの回想から物語が始まる。幼い頃、彼は実の兄を殺してしまった。事故だったのだ。その頃の彼はあまりに幼すぎた。父も母も、彼のことよりも体裁ばかりを気にしていた。

 孤独な彼に近づいてきたのは、悪魔のような少年フィニガン。フィニガンも孤独な少年だ。頼る者などなくたった一人で生きている。ガブリエルは彼との友情を繋ぎとめるため、血の契約を交わす。「善いことだけをガブリエルが行い、悪いことはすべてフィニガンが行う。」と。

 ガブリエルの回想とフィニガンの回想が交互に語られていくうちに次第に明かされる真実。天使の名前を持つ少年の真実の何と痛ましいことか。

サレンダー

ソーニャ ハートネット / 河出書房新社


 
by wkikyoko | 2009-03-28 00:36 | 読書(児童書・YA)
「縞模様のパジャマの少年」 ジョン・ボイン:作 (岩波書店)

 これはありえない設定の話である。巨大なフェンスで囲われた収容施設を作った側の少年と、そこに収容された少年が出会い、奇妙な友情を育てる。偶然にも同じ誕生日の二人だったが、その境遇はあまりにも違っていた。

 大都会ベルリンから父の新しい任務地へ家族とともに越してきた少年はブルーノ。新しい家は寂しい場所にぽつんと一件だけの小さな家だった。友達もいないし、わくわくするような町並みもない。それに、あのフェンスは何?何もかもが気に入らない。退屈な日々を過ごすうちに、ブルーノは冒険を思いつき、フェンス沿いにずっと歩いていった先で、フェンスの向こう側の少年と出会った。

 フェンスの向こう側にいた少年はシュムエル。ポーランドから連れてこられた。父さんと母さんと兄さんと一緒に。だけど、ここに着いたとき、母さんだけが引き離されてそれ以来会えないでいる。フェンスの中にはたくさんの人たちが小さな小屋に押し込められるようにして暮らしている。

 そう、フェンスで囲まれた収容施設はアウシュビッツ。ブルーノは、アウシュビッツの司令官の息子で、シュムエルはユダヤ人の少年なのだ。

 ブルーノは9歳。友だちや祖父母や大きな家から離されて、こんな寂しいところに来たことに不満を爆発させたり、姉に対して少年らしい敵対心を持っているが、無邪気で心優しい少年だ。使用人に対しても横柄なところがない。

 だけど、あまりにも無邪気すぎる。大人たちの会話を漏れ聞いても、目の前に縞模様の服を着せられた人々を見ても、軍人のあからさまな態度に接しても、戦争の影やアウシュビッツの悲惨さを感じ取ることができないでいる(ように思われる)。

 物語は終始、9歳のブルーノの視点で語られていく。ブルーノが知らないことは、読者にも知らされない。しかし、彼が理解できないことであっても、読者は理解しその奥に隠されていることに気づいている。そして、それをブルーノが気づかないことに苛立ちを覚える。

 なぜ、気づかないの?知らされていないから?無邪気は可愛い。でも無邪気は罪だ。無邪気は自分自身も滅ぼしてしまう。無邪気の先にある結末に衝撃を覚えながら、もしかしたら私たちもブルーノと同じような無邪気さで今を生きているのではないかと、恐ろしくなった。

  二人の友情はあまりにも悲しい。

縞模様のパジャマの少年

ジョン ボイン / 岩波書店


P.S.
①この作品は、マーク・ハーマン監督によって映画化されている。HPはこちら
②ところで、「The Boy in the Striped Pajamas」なのに、どうして装丁は横縞なんだろう?
by wkikyoko | 2009-02-22 22:44 | 読書(児童書・YA)

母と娘の物語

「めぐりめぐる月」 シャロン・クリーチ:作 (偕成社)

めぐりめぐる月

シャロン クリーチ / 偕成社

 母は突然家を出て行った。一人残されたサラの戸惑いと悲しみは大きい。自分を母の分身と思い、母が感じるものを感じ、母と一緒に過すことに安らぎを感じていたのに。母がいなくなって、父は思い出深い農場を引き払い、サラと二人で違う町へ引っ越した。母はもう二度ともどらない、と父は言う。でもサラは納得できない。

 いなくなった母をたずね、サラは北米大陸を東から西へ3000㎞の旅へ出る。祖父母とともに、旅を続ける。旅の途中のつれづれに、サラは新しい町で友達になったフィービィーとその家族にまつわる話を語り続ける。古い家の居間の壁の奥から隠された暖炉が出てきたように、フィービィーの物語の後ろには、サラ自身の物語が隠されていた。

 インディアンの血を引くサラとその家族。祖父母の愛に包まれながら、母の足跡をたどり、物語を語ることで、サラの心は成長していく。


「わたしの美しい娘 ―ラプンツェル―」 ドナ・ジョー・ナポリ:作 (ポプラ社)

わたしの美しい娘―ラプンツェル

ドナ・ジョー ナポリ / ポプラ社

 私は娘が欲しかった。私だけの娘。私だけの可愛い娘。他の女は何の苦労もなく子を授かるのに、これほど強く子を欲する私には恵まれない。ならば私は取引をしよう。悪魔と呼ばれる者と。私は私の魂と引き換えに、植物を操る力を手に入れた。そして、娘を一人。

 グリム童話「ラプンツェル」を下敷きに描かれる母と娘と若者の物語。狂おしいまでの母の愛と執着。塔に閉じ込められたラプンツェルの孤独と狂気。若者の苦悩。童話では描ききれない登場人物の心情が痛いほど伝わってくる。
by wkikyoko | 2009-02-13 09:18 | 読書(児童書・YA)
「なまくら」 吉橋通夫 (講談社)

 YA!ENTERTAINMENTシリーズの1冊。時代は江戸から明治にかけて。京都の片隅に生きる7人の少年の7つの物語。少年達はそれぞれに10代前半。夏吉(生魚を京都の魚屋まで運ぶ走り)・矢吉(砥石の運び人)・半吉(灰買い)・風吉(船曳き)・長吉(車引き)・小吉(古着屋)・ドジ吉(煉瓦職工)。

 親に代り一家を支えている少年がいる。親はいても自分の食い扶持は自分で稼がなくてはならない少年がいる。一家離散の少年がいる。親の顔さえも知らない少年がいる。

 少年達の暮らしは厳しい。親を恨む、自暴自棄になる、自分を卑下する、悪の道に足を踏み入れそうになる、悪い仲間から抜けられなくなってしまう‥このままじゃダメだと自分でもわかっているのに。このまま、ずるずると落ちていくしかないのか。だけど、少年は一人ではないことを知る。苦しみながら、もがきながら、でももう一度立ち上がっていく少年達。

  「おまえら子どもの前には、
  何本もの道がひろがっとるんや」
  「な、なんの道でっしゃろ?」
  「生きていく道や。もし、道をまちごうたと思うたら、
  思いきって引き返し、別の道をいくことや」
         ~太字は「灰」より~

なまくら (YA!ENTERTAINMENT)

吉橋 通夫 / 講談社


by wkikyoko | 2009-01-25 23:42 | 読書(児童書・YA)