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あそびをせんとや ~あそびっこ~

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本を読んだり、舞台を観たり、後は何をしようかな?実は虫好き。変なもの好き。

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父の気持ち・母の気持ち

飯塚市民劇場第297回例会「獅子」文化座
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 時は戦時中。一色家はもともと裕福な農家だったのが、現当主の春吉の人柄の良さが災いして今ではすっかり没落してしまっている。妻の紋は、近所の人達から「国策おかか」と陰口を言われれながらも家の再興を願い、また同じような苦労を味あわせたくないと娘の雪を成金の息子に嫁がせようと躍起になっている。

 今日は嫁見の日。雪は浮かぬ顔をしている。春吉は「本当にいいのか」と何度も尋ねる。満州開拓に人生をかけた幼馴染の圭太郎が挨拶に来るが、雪はまともに目を合わせることすらできない。実は圭太郎と雪はお互いに思い合う中で、圭太郎の友でもある雪の兄は二人が一緒になることを望んでいた。けれど、父春吉に似て気の弱い雪は自分の気持ちを母に伝えることができず、運命とあきらめ母の勧める結婚を断り切れずにいたのだ。

 紋が傷痍軍人の接待に出かけて父とふたりきりになった時、雪は長らく禁酒していた父に酒を勧め、嫁入り前の思い出に獅子舞を見せてくれと頼む。久しぶりに口にした酒に寄った父は、普段の弱気とは別人のようになって、ここぞという時は自分の気持ちに正直になるべきだと叫ぶ。その言葉を聞いた雪がとった行動は…

 父の気持ちも母の気持ちもよくわかる。父の叫びに自らを奮い立たた雪の気持ちも。終戦時の満州の悲劇を知っている身には雪の未来が明るいものばかりではないと引き留めたい気持ちにもなる。しかし、やはり今は涙ながらに雪と圭太郎の乗った汽車見送る両親とともに雪の決心にはなむけを送りたい。
by wkikyoko | 2015-08-27 23:59 | その他鑑賞(舞台等)