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あそびをせんとや ~あそびっこ~

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本を読んだり、舞台を観たり、後は何をしようかな?実は虫好き。変なもの好き。

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美しくも痛ましい‥

「サレンダー」 ソーニャ・ハートネット:作 (河出書房新社)

 一昨年、鳥越先生の児童文学講座を受けたときに「児童文学にもはやタブーはなくなってしまった。」というお話を聞いた。確かに、と思う。どんなに厳しい状況を描いても、どこかに希望や明るさを見出せるのが児童文学のひとつの特徴だと思っていたのが、そうとばかりはいえないということを最近読む本では特に強く感じる。この本もそんな1冊。

 短い生涯を自らの意思で終わらせようとしている少年ガブリエルの回想から物語が始まる。幼い頃、彼は実の兄を殺してしまった。事故だったのだ。その頃の彼はあまりに幼すぎた。父も母も、彼のことよりも体裁ばかりを気にしていた。

 孤独な彼に近づいてきたのは、悪魔のような少年フィニガン。フィニガンも孤独な少年だ。頼る者などなくたった一人で生きている。ガブリエルは彼との友情を繋ぎとめるため、血の契約を交わす。「善いことだけをガブリエルが行い、悪いことはすべてフィニガンが行う。」と。

 ガブリエルの回想とフィニガンの回想が交互に語られていくうちに次第に明かされる真実。天使の名前を持つ少年の真実の何と痛ましいことか。

サレンダー

ソーニャ ハートネット / 河出書房新社


 
by wkikyoko | 2009-03-28 00:36 | 読書(児童書・YA)